2023年度「AI Optics優秀発表賞」審査結果

    受賞者:名古屋大学 栗本 晋之介
    講演題目:面内回転試料のX線顕微鏡画像群を用いた 教師なし学習ベースのブラインドデコンボリューション
    名古屋大学 栗本 晋之介、井上 陽登、 伊藤 俊希、伊藤 颯希、香村 芳樹、矢橋 牧名、松山 智至
    【受賞理由】 受賞者の研究では、X線回折イメージングの空間分解能を向上させる新たなブラインドデコンボリューション手法として、試料の回転とラベル無しデータで学習するUntrained Neural Networks (UNN)を組み合わせ、収差補正の最適化を実現する手法を提案しています。 この研究において、資料を回転させるという発想は、簡便かつ効果的にUNNを実装する上で巧みな工夫であり、実験的にも十分な効果があることを実証しています。 また、X線イメージング技術というこれまでにAIの適用事例が少ない研究にチャレンジした点も高く評価し、AI Optics優秀発表賞に選定しました。
    受賞者:三菱電機(株)  古田 拓也
    講演題目:深層学習を利用した小型赤外線センサーの高画質化
    三菱電機(株)  古田 拓也、桑田 宗晴
    【受賞理由】 受賞者の研究は、小型赤外線センサーの収差とノイズの影響を深層学習モデルで補正する手法を提案しています。 深層学習モデルにはU-Netを適用し、学習データ生成には実機を模擬した光学シミュレーションを用いることで、大量のデータセットの生成を実現しています。 学習データを生成する光学シミュレーションは現実に即した妥当なモデルであり、大量のデータセットを学習させることで、解像度は1.5倍に改善し、ノイズは41%に低減できていることを実証しています。 企業の研究ならではの実用性の高い研究成果が示されており、AI Optics優秀発表賞に相応しい研究であると判断しました。
    受賞者:東京大学  益子 遼祐
    講演題目:回折型多重演算:並列性を生かす光演算新構造
    東京大学  益子 遼祐、堀 遼一、成瀬 誠
    【受賞理由】 受賞者の研究は、多重かつ並列光論理演算を可能とする枠組みとして「回折型多重演算」(Diffraction Casting)を提案しています。 この手法は、複素振幅変調ホログラムを複数層積層し、最上流に振幅変調入力照明、中間層に2枚の入力画像、最下流に入力画像に対する二値論理演算結果を光強度として出力する構成となっており、一光学系において多重演算を実現できることをシミュレーションによって実証しています。 近年、光回折ニューラルネットワークに代表される深層学習に必要な演算を光学的に実装する研究は大きな注目を集めており、本研究はこの分野の一つとして独自性及び実現可能性の高い技術であると評価しました。 将来の重要性という意味でAI Optics研究としての意義は大きいと考え、AI Optics優秀発表賞に選定しました。
    審査委員:鈴木 裕之(群馬大学, 委員長)、谷田 純(大阪大学)、赤尾 佳則(科学警察研究所)、和田 篤(防衛大)、渡邉 恵理子(電気通信大学)、中村 友哉(大阪大学)、池田 佳奈美(大阪公立大学)、長谷川 智士(宇都宮大学)、竪 直也(九州大学)、桑田 宗晴(三菱電機)、佐野 恵美子(クボタ)、山本 裕紹(宇都宮大学)、高橋 桂太(名古屋大学)、藤吉 弘亘(中部大)

過去の授賞結果

2022年度
2021年度
2020年度